祝無罪:福島県立大野病院事件
医療関係者の大きな関心事だった福島県立大野病院の産婦人科での妊婦死亡事件について、無罪判決が出されました。
タダでさえ高度な医療について及び腰な日本の医療を、さらに委縮させる結果にならず、本当によかったと思います。亡くなられた妊婦さんとご遺族はたいへんお気の毒ですが、これを契機に「医療は常に不確実性があるもので、刑事事件で裁くべきではない」という国民のコンセンサスができていくと良いと思います。
医療関係者の大きな関心事だった福島県立大野病院の産婦人科での妊婦死亡事件について、無罪判決が出されました。
タダでさえ高度な医療について及び腰な日本の医療を、さらに委縮させる結果にならず、本当によかったと思います。亡くなられた妊婦さんとご遺族はたいへんお気の毒ですが、これを契機に「医療は常に不確実性があるもので、刑事事件で裁くべきではない」という国民のコンセンサスができていくと良いと思います。
久しぶりになってしまいました。
最近、血糖自己測定器とセットで使用される穿刺具(ランセット)の病院・クリニック内での複数患者による使用(使い回し)による院内感染リスクが問題になっています。
【厚労省】ディスポ血糖測定器具の「使い回し」を実態調査へ
島根県の医療機関で、1回1人の使用に限っているディスポーザブルタイプの血糖測定器具を、複数の人に使い回したケースが相次いで発覚したことを受け、厚生労働省は27日、ディスポタイプの同器具の使用実態調査を全国の医療機関を対象に行うと発表した。6月末までに調査結果をまとめ、必要なら対策をとる。 ディスポ血糖器具の使い回しは、島根県益田市の診療所で3月末から約1カ月間に44人の患者に対し、針を交換せずに使用したことが4月30日に発覚。感染の恐れがあるため検査した結果、因果関係は不明だが、HCV抗体陽性2人、HBs抗原陽性1人、HBs抗体陽性13人に上ることが判明。その後、島根県の調べで、針は交換していたものの、ディスポタイプの使い回しが24日現在で46医療機関で行われていたことが分かった。奈良県からも1施設で同様のケースがあったことが報告されているという。
これらの器具の添付文書には、「複数の患者に使用しないこと」と明記されている。厚労省医薬食品局は、海外での使い回しによる感染事故を受け、2006年3月には、「複数患者使用不可」のシールを器具に貼るよう指導し、島根県益田市のケースでも貼られていた。今回の発覚以前には、厚労省に使い回しが報告されたことはなかったという。
今回の調査の対象になっているのは、ほぼ全ての血糖自己測定器メーカーです。全メーカーが薬事法と異なる説明をしていたり、使用方法についての説明不足であることは有り得ないと思います。
つまり、厚生労働省としても、メーカーとしても、打つべき手はうっていたが、医療現場の医師・看護師の認識が甘かったということなのでしょう。本件で肝炎などの感染症に罹患した患者さんが少ないことを祈ります。
5月11日(日)夜の『情熱大陸』という番組で、勝間和代さん(経済評論家)の特集を見ました。
勝間さんの著書はほとんど全部読ませていただきましたが、お話しているところを初めて見ました。番組全体として、勝間さんの人柄が出ていて、とてもよかったです。
・自分の世代は逃げ切れるからよいが、「子供の世代のために良い日本にしていきたい」という心意気に、とても共感しました。
・そのためにも、もっと女性が要所で活躍できる会社(そして国家)にしていかないと、日本の将来の発展は無いという点にも、完全に同意します。
・Chabo(本の印税の寄付)のコンセプトは、今までありそうで無かったので、広がっていくとよいですね。
ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏(元米国副大統領)の著書『不都合な真実』にもあるように、近年は気温の上昇だけではなく、雨の降り方や風の吹き方が、昔とは違ってきたように感じます。
私が感じる地球温暖化の例です。たぶん多くの方も同様に感じていると思います。
春: 桜の開花が子供の頃より1週間くらい早くなった。昔は入学式(東京では4月7日頃)に桜が満開だったが、最近は3月末に満開になる年が多い。
夏: クマゼミが東京にも進出した。箱根より東には生息しないはずだったクマゼミの声を東京で聞くことが増えた。また、日本の伝統的な夕立ちではなく、熱帯のスコールのような降り方の雨が多くなった。
秋: 残暑がいつまでも続き、9月がとても暑くなった。また、銀杏の黄色く色づく時期が遅くなった。25年前の学生のときには、11月末に一斉に黄色になっていたが、最近は12月に入るまで黄色くならない木も多い。
冬: 雪が本当に少なくなった。また、池に氷がはったり、地面に霜柱が立ったりすることも減った。
以前、勤務していたヘルスケア企業で、営業課長向けに「営業プロセスモニタリング研修」を企画したとき、講師としてお呼びした先生の本を紹介します。
『30歳からの営業力の鍛え方』(かんき出版) 和田一男
この研修は「営業のプロ」としての和田講師の熱い想いが伝わってきて、たいへん好評でした。この著書は、営業パーソンが自分のキャリアを考える上で、有益だと思います。
「第1部 キャリアプランニング編」では、営業マンのキャリア設計についての考え方を示した上で、営業としてキャリアアップするために、必要な能力は何かをまとめてあります。
鍛えるべき能力とは、①行動力、②新規開拓力、③企画立案力、④プレゼンテーション力、⑤信頼構築力、⑥リーダーシップの6つです。いずれも当たり前のようですが、営業経験がある人が読むと、改めて気づくことも多いと思います。
「第2部 スキルアップ編」は、営業力を強化するための5つのポイントです。
「第3部 行動習慣編」は、「できる営業マンの行動習慣10カ条」です。
貴方はいくつマルがつけられますか?
いずれもオーソドックスな内容なので、業界を問わず「営業の基本」として、営業に関わる方の参考になると思います。
次は、新聞記者の書いた医療問題の本を紹介します。
『ドキュメント 医療危機』(朝日新聞社) 田辺功
この本は、朝日新聞朝刊に2007年4月から連載された「ドキュメント 医療危機」がベースになっています。著者の田辺氏は、朝日新聞社編集委員で、長年、医療問題を担当されている記者とのことで、多くの課題が多面的に抽出されています。
一つの項目ごとに一つのブログが書けるくらい、多くのテーマがありますので、ここでは課題を列挙して、簡単なコメントを書くだけに留めます。
・日本は医師の絶対数が不足: OECD加盟国で日本の医師数は最低レベル。医師の労働時間は最高に長い。医師および医療従事者の労働条件の悪さが医療事故の遠因。医師の高齢化も進んでおり、医学部定員の増員は不可欠。
・医療事故に警察が介入する危険: 医療行為の結果である死亡に対し、警察が介入して医師を逮捕する事例があった(06年の福島県立大野病院の産婦人科の例)。これが一般的になると、訴訟・逮捕されるリスクの高い産婦人科や外科は誰もやりたがらない。また、リスクのある手術はできなくなる。新しい医薬や医療機器は使用できなくなる。
・病理解剖の少なさ: 他の先進国と比べ、日本では病理解剖は極端に少ない。96年のWHO調査では、スウェーデンが全死者の37%、カナダ20%、米国12%、ドイツ8%に対し、日本は22か国中最下位の4%。解剖により死因の究明や治療プロセスの質向上を図れる。ベストセラーになった『チーム・バチスタの栄光』でも取り上げられたテーマですが、病理医の数の少なさは、医療の質を支える上で問題。
・医療不信をあおるマスコミの報道: テレビ、雑誌、新聞の医療事故に関する報道が、すぐに医師の医療ミスと断定するかのようなトーンになり、医療不信をあおる。マスメディアの勉強不足と一過性の大衆迎合主義が問題。
・わがままな患者: インターネットなどを通じて医療に関する情報が入手しやすくなったのは良いことであるが、最近は、すぐに医療ミスを疑う患者・家族が増え、医師は余計な労力を割かれている。わがままな患者や、ひどい場合には暴力をふるう患者、医師や看護師に暴言を吐く患者も増えている。
・腎移植などの先進的な医療へのリスク: 日本では臓器移植についてのガイドラインが明確に作られていない。学会は大学教授が中心なので、臨床経験が少なく、医療の現場での患者の切実なニーズが理解されていない。従って、先進的な医療行為については医師個人がリスクを負わざるを得ないため、日本では多くの先進的な医療で遅れている。
・医療機器の認可の遅さ・価格の高さ: 日本は医療機器の認可が遅く、欧米と比べ、2-3世代前の古いタイプが使われていることが多い。審査機関の人数、スキルとも不足している。いろいろな意味でコストが高くなる市場構造であるため、価格が高くなる。
最後に、田辺氏はこの本の中で、日本の医療を改革するための「8項目の提言」を挙げている。
特に私は、2(許認可制度の改善)、3(混合診療導入)、7(医師のグレード分け)、8(予防医療の重視)については、大いに賛成です。
いずれも重要テーマなので、このブログでも取り上げたいと思います。
また医療崩壊に関する本の感想です。
『貧乏人は医者にかかるな! 医師不足が招く医療崩壊』(集英社新書) 永田宏
著者の永田氏は、オリンパス光学、タケダライフサイエンス・リサーチセンターなどの民間企業で医療情報研究に従事された方で、現在は鈴鹿医療科学大学教授です。この本は、医療問題を「医師の絶対数の不足」という視点から考察されています。
「医師不足」の問題については、私自身、この本を読むまでは認識不足でした。次のような点は、私にとって新鮮でした。
以下は、私の感想・コメントです。
1について: 2000年頃から、マスコミで医療事故の報道が多くなり、安全管理に関する患者への説明や院内での事務作業が増加したこと、病院がコスト意識を持ち始めたこと、インターネットの普及で患者の声が大きくなってきたことなどが一因なのでしょう。若手医師や女性医師が働きやすい環境の整備も遅れているようです。いずれにしても、この10年足らずの間に、医療現場で急激な変化が起こっているため、私を含め、非医療従事者は、医師数不足に対する認識が足りないようです。
2について: 私が1980年代に大学に入学した頃は、確かに「医者は余る時代がくる」と言われていました。私が医学部に進まなかった理由の1つでもあります。1986年の厚生労働省調査から、わずか15年程度で、全く逆の状況になっているというのは、ひどい話です。医師の中でも、勤務医と開業医の間で、意見統一ができないことが、さまざまな面で医療問題の解決を難しくしていますね。
3について: 各国の制度に違いはありますが、日本の医師数が先進国の中で最低というのは、確かなのでしょう。この数字には高齢の医師や研究医もカウントされているので、実態は2.0名よりもっと少ないということが論理的に述べられており、説得力があります。
一方、英国は1980年代に医療費を削減しすぎて医師不足になり、患者が手術を受けるのに半年待ちといった状況になったため、医師数を増やしているそうです。私は1990年代前半に英国に住んでいたことがありますが、確かにその頃の英国人は、「イギリスの医療制度はひどいんだ」「風邪をひいたくらいでは、病院には行かない(行けない)」となげいていました。
4について: この本によると、日本の病院の医師・看護士などの数は、戦後すぐの1948(昭和23)年の国立病院を基準に決められたそうです。まだ結核が不治の病気だった頃です。当時はまだ医薬も医療機器もあまり高度なものがなかったので、やれる治療も限られていたはずです。その頃に決めた基準をいまだに踏襲しているのでは、高度な医療を行うためのマンパワーが不足するのは当然だと思います。
5について: 昨年、東北地方で開催されたある学会の会場で、「東京大学附属病院」や「慈恵医大病院」が大々的に看護師の募集をしていました。それを見た東北地方の医師が、「東大や慈恵から高給で誘われたら、若い女性(看護師)は誰でもあこがれて東京へ行ってしまう」となげいておられました。
また、私がヘルスケア企業に勤務していたとき、中部地方の名門国立病院の30歳代の内科医から、「東京のメーカーで働くにはどうしたらよいでしょうか」と相談を受けたこともあります。地方病院の医療現場の状況は、非常に良くないようです。
結論として、今の医療制度の延長では、「医師数の不足により、患者が適切な医療を受けられなくなる」という事態になることは避けられないようです。そうならないためにどうすべきか、国(政治家、厚生労働省)、医学界、経済界で真剣に議論していただきたいものです。
米国カリフォルニア州に住む知人(日本人女性)と電話で話す機会がありました。
米国では、例のサブプライム問題をきっかけにして、景気の先行き不透明感が広がっているそうです。例えば、次のようなことが起こっているそうです。
世界同時不況という最悪シナリオに突入しないことを祈ります。
4月8日の日経新聞夕刊に、下記の記事が掲載されました。
『混合診療、賛成8割。タブー視せず議論を』
特定非営利活動法人「日本医療政策機構」の調査によると、がんなどの命にかかわる病気では、一般成人の8割が「混合診療を認めるべきだ」との意見であることがわかった。
http://www.healthpolicy-institute.org/ja/report/index.php?atm_id=3
2003年に日本医師会総研が実施した同様の調査では、「一般国民や患者の2割未満しか混合診療に賛成しない」という結果であった。一方で、経済団体が行った別の調査では、賛成が反対を上回り、結果にバラツキがあった。
同機構によると「日本医師会の調査の質問文には、医師会の主張である混合診療反対という回答に誘導するケースが多く、信用性に問題があった」と指摘している。
2003年の日本医師会の調査に対しては、産業界や大学病院の医師などから疑問の声が上がっていました。今回の結果は、公平な調査結果として、尊重されるべきでしょう。
日経新聞の記事にあるように「日本医師会、学会、厚労省は、混合診療をタブー視せずに議論すべき」 だと思います。
日本医師会会長の唐澤氏の最新刊(3月30日発行)です。
『医療崩壊 医師の主張』(毎日新聞社) 唐澤祥人
日本医師会の主張としてこれまでにいろいろなところで発表された意見を、唐澤会長が個人的に総括されたものです。タイトルは、「医師の主張」というより、「開業医がマジョリティを占める、日本医師会の主張」という方が適切だと思いました。
いずれにしても、日本国の医療のあるべき将来像を考える上で、「日本医師会が何を主張しているか」を理解することは避けて通れないところなので、一読の価値はあります。(当然、立場や考え方によって、賛否の議論が百出するところではありますが。)
以下に私の感想を述べますが、私の立場は、ヘルスケア企業と経営コンサルタントの経験から、「医薬・医療機器・診断薬のサプライヤーの視点、および、一人の日本国民としての視点」となります。
最初に、日本医師会の主張について、私が「その通りだ」「ある程度同意する」と感じた点を挙げます。
一方、私が「この点は同意しない」「これでは多くの国民の理解は得られないのではないか」と感じた点は、以下の通りです。
→ なぜなら、日本経済の成長が鈍化し、社会が成熟してくると、あらゆる業界で競争が激化するため。グローバル競争がほとんど無く、IT化の影響もまだ少ない医療業界は、その点ではマシな方です。医療においては、まだまだ業務プロセスの効率化、低コスト化、患者サービスの向上などに努力する余地があると思います。
→ 米国でもドイツでも、競争を勝ち抜いた優秀な医師は高い給与を得られますが、平均的な勤務医・開業医は日本より低いはずです。例えば、私がよく知っている外資系ヘルスケア企業のドイツでは、多くのメディカルドクターが勤務しています。彼らが病院ではなくメーカー企業に勤務する理由の1つは、病院の給与はヘルスケアメーカーより安いからです。
ある37歳位のドイツ人内科医と話したところ、「彼が勤めていた公立病院だと年収800万円で夜勤や休日出勤もあるが、メーカーの医療学術担当では年収900万円で平日勤務のみなので、メーカーの方がよい」との話でした。
→ この本に書かれていない点として、私が織り込んでほしいと思っているのは、例えば「医師免許の更新制度の導入」「最新技術への定期的なアクセスの義務化」「セカンドオピニオンの推進」「チーム医療制の導入」「人材のグローバルな流動化」「先進的な医療や安全管理についてのマスメディアへの説明の強化」などがあります。これらについては、このブログの中で、適宜、触れていきたいと思います。
いずれにしても、最初に触れたように、「多くの医師・医療従事者は一生懸命、頑張っている」「総医療費を増額しないと、努力しようにもできない」ことは理解した上での、私のコメントです。誤解なきよう、お願いします。
雑誌「NEWSWEEK 日本版」の3月5日号に、『医療観光』と題した特集記事がありました。
http://nwj-web.jp/cover/contents/20080305.html
最近、途上国の医療技術が進歩してきたため、医療に国境がなくなりつつある。先進国から、安い費用で手術や治療を受けられる途上国を訪問する「医療ツーリズム」の市場が拡大している。
・昨年、治療のために外国を訪問した医療ツーリストは、イギリスで7万5000人、アメリカでは50万人以上。
・アジアの医療ツアーの市場規模は、10億ドル(1000億円以上)。年率30%で成長。各国が新しい産業として、医療ツアーに力を入れ始めている。
・人間ドック、美容整形、歯科などが多いが、不妊治療、心臓バイパス手術、人工股関節置換手術、更には、子宮全摘手術、臓器移植までがある。
・例えば、タイのバムルングラード国際病院は、心臓疾患から、アレルギー、睡眠障害まで、多様な病気の治療を手がける巨大施設で、年間45万人の外国人患者がくる。医師900人、看護士800人の他、数百人の通訳が待機する。
・最大の魅力は、やはり費用の安さ。例えば、米国で3万ドルの心臓手術が、インドでは4000ドルで受けられる。外国人がインドで手術を受けると、平均的には米国の数分の1。フライトや滞在費を考慮しても、割安感は大きい。
NWでは日本については特に触れていませんが、日本でも最近は、芸能人が先進的な不妊治療のために米国に行ったり、ガン検診+観光ツアーで韓国に行ったりということを耳にするようになっています。
あらゆる業界で「グローバル化」「ボーダーレス化」は避けられない方向ではありますが、医療については、以下の課題がありそうです。
1.安全・リスク管理の課題
医療である以上、医療ミス、合併症のリスクは常に存在する。術後のケアも気軽にはできない。問題が起きた時、補償を得ることも難しい。
2.医療従事者のグローバル化の課題
途上国の多くが医師不足であるのに、給料などの条件がよいため先進国で働く医師が多いことはこれまでも国際的な問題であった。それに加えて、途上国に残った医師までが、自国民ではなく先進国の患者を優先することは、既にいくつかの国では問題となっている。
3.医療倫理の課題
医療が金儲けの手段になりすぎると、様々な倫理的な問題が発生する。不妊治療では、体外受精用の卵子提供や代理出産をどこまで認めるかは大きな議論である。また、臓器移植などでは、貧困層が犠牲になりやすい臓器売買の温床になる可能性がある。
1-3の課題に対して、将来的には、国際的なガイドラインを作成することが望ましいのでしょうが、当面は患者の自己責任・自己判断にならざるを得ないのでしょう。
勝間和代さんの6冊目、最新刊です。
4月3日午後に神田の三省堂本店に行ったら、勝間本コーナーに平積みされてありました。一気に読みましたが、またベストセラー間違いなしでしょう。
『勝間式 利益の方程式』(東洋経済) 勝間和代
素人にも分かり易く「利益の取り方」について説明している本は、確かにご本人がこの中でも書いているように、「これまでにありそうで、無かったコンセプト」ですね。
私は経営コンサルの経験者なので、書かれている内容自体は、コンサルの収益性改善のケースワークでよく議論されることなので、すんなり読めました。
勝間さんの才能だと思うのは、これを一般の方向けに分かり易いフレームワークと事例で、説明しきっているところです。基本に忠実でありながら、新しいマーケティングの考え方を盛り込んで、独自性を出されています。ちょっとしたコンサル経験者であれば、似たようなことは理解しているはずですが、これまでにそれを一般向けの本として、これほど上手に表現できた人はいなかったということで、それが彼女のエライところです。
私は専門領域がヘルスケアや化学企業なので、収益性改善として接する事例が、化学企業の工場の生産性だったり、製薬企業のMRの営業活動の効率化だったりするため、携帯電話、本、レストランなどの消費財のコスト構造の考え方(特に顧客当たり獲得コスト)については、大切なポイントを再認識できました。
いずれにしてもこの本は、比較的若いビジネスパーソンで、これまでに利益や収益性について考えたことがなかった方への入門書として、お勧めです。
ようやく勝間さんの5冊目の本、通称『新インディ』の感想です。
『勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド』(ディスカヴァー) 勝間和代
期待通りの内容でした。
私自身は男性ですが、ちょうど男女雇用機会均等法の最初の世代で、社会に出た時から優秀な女性たちと同僚・友人として接してきたことや、外資系経営コンサルティング企業では女性の先輩・後輩も多かったことなどから、意欲のある女性が働き続けることを応援していきたいと思っています。
また、私の妻も、子供を保育園に預けながら、某外資系企業でフルタイムで働いているワーキングマザー(WM)です。私も、子供の登園やそうじ・洗濯など、それなりに家事を分担しています。家内の働く外資系企業は、日本企業と比べると、ずっとWMにとっての条件が整っていますが、それでも更なる改善のための努力をしています。この点に関しては、多くの日本企業がグローバル企業に学ぶところが多そうです。
さて、勝間さんの本では、「インディの3条件」として、①年収600万円以上を稼げること、②自慢できるパートナーがいること、③年をとるほどすてきになっていくこと、を挙げています。確かにこの3条件は、私が今まで出会った「仕事ができる女性」に共通で、若い世代の女性が目指す目標として適切だと思います。
また、英語ができると年収が1.5倍になるというのも、男女を問わず、経験的に正しいと思います。私が知っているコンサル企業や外資系ヘルスケア企業では、TOEIC860点レベルが求められる仕事に対する対価は、全く英語を必要としない日本企業での同様の仕事と比較すると、50%増だと思います。このように、みんなが経験的に感じていることを、分析して分かり易く表現するのが、勝間さんの強みで、見習いたいところです。
この本には、やる気のある女性にとってのヒントが満載されていますので、自分の妻をはじめとして、職場の同僚や後輩の女性たちに、機会ある毎に勧めていきたいと思います。
勝間和代さんの本の紹介、4冊目です。
『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』(ディスカヴァー) 勝間和代
この本は、特に一般企業の内勤部門(マーケティングや企画など、机に座ってPCを使って仕事をすることが多い)のビジネスパーソン全員に読んでもらいたい内容です。
私も以前、普通の会社から、単位時間当たり生産性の高いコンサルティング会社に移ったとき、この本に書かれているようなことを感じ、できるだけ実践するようにしているつもりです。
例えば、次のような点を参考にすべきだと思います。
と言っても、私もまだまだ勝間さんのレベルには、遠く及びません。日々の継続的な努力が必要です。
勝間和代さんの本の紹介の3冊目です。
『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』(ディスカヴァー) 勝間和代
2007年4月に発行され、最初に大ヒットした勝間さんの本です。
「なぜ勉強するのか?→勉強は幸せになるための先行投資」という基本コンセプトが明解です。自分の経験から言っても、勝間さんの「勉強の基本的なコツや考え方」については、同意する点が多いです。多くのビジネスパーソンの参考になると思います。
私が特に興味をもって、今後、取り入れてみようと思ったのは、次の3点です。
・フォトリーディングの効用: 速読との違いを知って、フォトリーディングに興味をもちました。(でも、ラーニングソリューション社のセミナーを申し込もうとしたところ、数か月待ちでした。皆さん、考えることは一緒ですね。)
・無線LANの活用: 自宅では有線の光通信で満足していたのですが、外出先を含め、もっと無線LANを使うべきですね。
・MP3とオーディオブックの利用: 自分の英語のブラッシュアップのツールとして、聴いてみようと思います。
この本は、勝間さんの真骨頂ですね。
『効率が10倍アップする新・知的生産術』(ダイヤモンド社) 勝間和代
私は自分も経営戦略コンサルの経験がありますので、その仕事のハードさはよく理解しています。3人の娘さんを育てながらマッキンゼーで5年も働くというのは、それだけでも尊敬に値します。
この本では、その勝間さんが実践してきた知的生産性向上のポイントが惜しげもなく公開されていて、非常に参考になりました。次のようなことを、私も実行してみようと思いました。
→という訳で、このブログを立ち上げてみました。このブログを中心に考え続けていきたい自分のテーマは、次の5つです。
書きたいことはたくさんあるので、まずはこのブログでの情報発信を習慣化していきたいと思います。
2月末に初めて勝間和代さんの表題の本を読んで以来、一気に5冊を読んでファンになりました。読んだ順番に、このブログで感想を書きます。
『お金は銀行に預けるな』(光文社新書) 勝間和代
「金融リテラシーの基本と実践」というサブタイトルの通り、金融の基礎知識があまり無い人向けの入門書として、分かり易い内容です。
勝間さんの強みは、会計士と証券アナリストという金融のプロであるだけでなく、マッキンゼー(経営コンサルティング)の経験があるため、「細かいことを捨てて、本質を大づかみする」のが上手な点だと思います。金融系の人の書いたものは、どうしても詳細にこだわり、素人にはわかりにくい傾向がありますので、この本が売れる意味がよくわかりました。
私は金融のプロではありませんが、投資信託や債券を多少買っているので、p159の「投資の基本5原則」を改めて実践していこうと思います。
第1原則:分散投資、分散投資、分散投資
第2原則:年間リターンの目安としては、5%で上出来
第3原則:タダ飯はない
第4原則:投資にはコストと時間が必要
第5原則:管理できるのはリスクのみ、リターンは管理できない
また、最後に「金融を通じた社会責任の遂行」の章で、SRI(Socially Responsible Investment)ファンドや、金融の生涯教育について触れているのも、好感をもちました。私も企業のCSRや子供の金融教育は、今後、ますます重要になっていくと考えます。
昨3月30日、日経新聞朝刊の『医師の目』と題した連載コラムに、次の内容がありました。
『血糖自己測定をもっと普及させよう』
筆者は、糖尿病学会で知らない方はいない東京都済生会中央病院副院長の渥美義仁先生です。以下、記事からの抜粋です(太字、下線はdragonfly)。
日本では、これまでインスリン使用者にのみ健康保険が適応されてきました。ただ、国際糖尿病連合の治療ガイドラインでは、インスリン治療以外の人にも積極的に活用するのが標準で、国内の遅れは明らかでした。この4月の診療報酬改定でやっと200床未満の医療機関で非インスリン治療患者にも認められましたが、費用のわりに血糖センサーの数が限られるので、使う際には工夫が必要です。
(200床以上の)大きな病院にかかる人がなぜ発展途上国並みの環境に留め置かれたかはわかりません。しかし、必要性をよく理解した人が、主治医のアドバイスのもと、自分の意思と費用でしっかり血糖値を測ると効果的でしょう。
血糖自己測定については、既に欧米先進国をはじめ、アジアの多くの国でも、OTCとして認められており、必要な人は誰でも薬局で買うことができます。
一方、日本では医師の指導のもと、インスリン使用患者だけに限定されており、糖尿病および生活習慣病関係者の間では、ずっと以前から日本の規制緩和の遅れが問題になっていました。
今回の診療報酬改定で、若干の規制緩和が行われましたが、渥美先生のご指摘のように、まだまだ十分ではないようです。欧米のように、血糖コントロールを必要と感じた人が「自分の意思と費用で」血糖自己測定器を購入して使用することができるようにしていくべきでしょう。
国家の医療費削減を長期的に考える場合には、血糖自己測定のような予防医療にこそ、もっと医療費を使うべきだと思います。もし健康保険の適用がコスト的に難しいのであれば、国民のひとりひとりが自分の意思と費用で、健康管理・予防を行えるような仕組みにしていくべきだと考えます。
最近、製薬メーカーのテレビコマーシャルをよく見かけるようになりました。タイプとしては、大きく3つに分かれると思います。
1つめは、会社自体の認知度向上、イメージアップを狙ったCMです。
最近の例では、合併して新会社になった第一三共が、俳優の渡哲也を起用したCMが目立っています。いかにもギャラが高そうな渡哲也が登場して、「どこの薬かな?第一三共か」という演技をするだけですが、さすがは大物俳優だけに、存在感があって目を引きますね。新会社の認知度アップだけではなく、合併後の同社社員に愛社精神をもたせ、モチベーションを向上させる施策(経営用語ではPost Merger Integration施策)としても有効なのではないでしょうか。
その他には、テルモやニプロといった医療機器に軸足があったメーカーが、医薬での認知度向上を企図したCMも目立っていると思います。
2つめは、新しい領域の医薬品の患者(消費者)への認知度向上(啓蒙)を意図したDirect To Consumer (DTC)のCMです。
DTCは、一般消費者(潜在患者)が「病気なのかどうかわからない」領域において、「そのような悩みがある人は病院で医師に相談してください」と知らせるPull 戦略が目的です。これまで、ED、うつ病、養毛などの例がありました。
最近では、アステラス製薬とサノフィ・アベンティスが共同で、睡眠導入剤のCMを大々的に展開しているのが目立っています。こちらは俳優ではなく、元NHKキャスターの草野満代さんと、順天堂大学病院の河盛隆造教授による「生活習慣病に起因する睡眠障害について」の対談形式の堅い感じのCMです。河盛教授は、糖尿病や内分泌の世界では知らない医師はいない有名な方ですので、このCMは一般消費者向けだけではなく、クリニックなども含む医師向けにインパクトが強いCMだと思います。
3つめは、ジェネリック医薬品のCMです。
この領域は、厚労省が医療費削減のためにジェネリック比率を欧米並みに高めたいという意図と、患者や病院経営者のコスト意識向上とともに、少しずつメジャーになりつつあります。
以上のように、これまで医科向け医薬品企業は、マスメディアによる広報活動(特にテレビコマーシャル)にはあまりエネルギーを注ぐ必要はありませんでしたが、今後はますますその重要性が増していくでしょう。特に各社が、いかに企業の独自性を出すか、いかにCMの費用対効果を向上させるか、優秀な広報スタッフをどのように育成するかといった点で、知恵を絞っていくことになりそうです。
3月24日付けで、少し残念なニュースリリースがありました。
「株式会社三菱化学生命科学研究所の解散について」
2010年3月末をもって、同社を解散することを決定した。三菱化学生命研は、1971年以来、生物の生命現象を分子レベルで解明するとともに、環境や生命倫理に関する研究を設立当初から手がけた。常に生命科学における最先端の研究を手がけ、100名を超える大学教授を輩出した。
一方、最近では、大学で生命科学の研究も多く行われるようになり、国、民間の同分野の研究所も多数設立されている。そのため、同社は「生命科学の発展への寄与と研究成果を事業化し、その事業を通じて社会に貢献する」という所期の使命を果たしたと判断し、解散を決定した。
三菱化学生命科学研究所は、民間企業がライフサイエンスの基礎研究に投資する先進的な事例だったと思います。「100名を超える大学教授を輩出」と聞くと、同社が日本のライフサイエンスに果たした貢献の大きさを改めて認識します。
日本を代表するライフサイエンス研究所の1つがなくなるのは残念ですが、それぞれの研究者の方々の研究テーマは、別の場所で引き継がれていくのでしょう。
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