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2008年3月28日 (金)

英国の医師教育

最近出版された本です。

『見習いドクター、患者に学ぶ』(集英社新書) 林 大地

日本の大学を中退し、英国ロンドンの医学校で医師を目指した筆者の留学体験記です。

英国人を初め、さまざまな国籍の人たちと切磋琢磨して医師になるための努力をしていく姿が、活き活きと描かれており、読み物として面白かったです。特に、次のエピソードが印象に残りました。

・筆者のDaichiという名前は、英国人には覚えられないし、DaiはDie(死)につながり縁起が悪いので、大学の先生からAlexという英国名をもらったこと。

・日本とは異なり、医学部1年の最初から、GPでの実習があり、患者とのコミュニケーションスキルや診断スキルを学ぶこと。

・初めての採血実習で、静脈血がとりにくい老婦人を担当し、何回かの失敗のあと、患者のあたたかい協力で、無事に血を採れたこと。

・卒業試験では、Objective Structured Clinical Examination (OSCE、客観的臨床能力試験)があり、厳しく臨床現場でのとっさの診断力、判断力が試されること。

全体を通して、英国では「患者中心の医療(Pacient-centered Medicine)」を重視して医学教育が行われていることに、感銘を受けました。

また、この筆者は、素直で読みやすく、エピソードを上手に伝える文章力があるので、次回作にも期待したいです。

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